ここは小ネタポケスペログ場です。
短い話がいっぱい。設定もなんでもありで詰め込んでます。
お話の後の小さいのはコメントです。
↓のタイトルをクリックするとそのお話のところにとんじゃいます。

・君に願う、君を願う。(ルサ/学園パラレル)
・モノクロに赤い染み(ルサ/パラレル※死ネタ注意)
・かわるがわる(ルサ)
・夕焼け、約束、4つの鐘(ルサ/パラレル)
・忘れてはいけないこと。(ルサ/パラレル)



『君に願う、君を願う。』

「はー、すごか人だったったい」
「まあ初詣だし」
 学校も冬休みに突入して、あっという間に新年を迎え、
 サファイアとルビーは二人で初詣を終えた。
 何故二人かと言えば、いつもの面子で行こうというのを
 やんわりと断ったから(そりゃあ文句もでたけど)。
 二人で行こうといういつかのささやかな約束を、
 先輩方には悪いけれど、守りたかったからだ。
「去年はいい年だったとよ」
「先輩方と会えたから?」
「そうったい!だから、ルビー」
「何」
「来年は、みんなでくるとね」
 にこ、と笑って手を取る君の、その目に全て溶けていくような
 気がした。自分のつまらない欲とか負の感情とか、
 普段捨てられないで持ってる重たい自分を、彼女はいつも
 知らず取り払ってくれる。
「・・・そうだね」
 ぴんとつめたい冬の清い空気と繋いだ手のあたたかさ、
 そのどちらもいとおしい。
「なんね、にやにやして」
「なんでもないよ」
 願わくば世界の全てが彼女を愛しますように。
 その時僕がそばにいなくとも。

−−ルサ・スクール設定で初詣
  少年の密かな願いはただ少女のために


先輩方は、勿論カントーズとジョウトズです。




『モノクロに赤い染み。』※死ネタです。注意。

「人って、こんなに冷たくなれるものなんだね」
 胸に掻き抱く少女の体温は凍えてしまうほど低い。
 まさか実際人間は『凍える』ほど体温が低くなるわけが
 ないし、それは只の例えだけれど、実際少年は自分の
 内側がそれくらいの勢いで冷え切っていくのがわかった。
 もちろん肉体的ではなくて精神的な方向で。
「ちょっと待っていて。すぐ終わるからね」
 返事のない少女に優しく口づける様は美しすぎるが故に
 奇妙だった。まるで少女がただ眠っているかのように、
 少年は少女を地面に優しく地面に降ろして横たえさせた。
 立ち上がった少年の服はどす黒い。少女の命がしみこんだ
 布地には、愛しささえ湧いてくる。これが彼女の血液だ。
 輝き燃えていた彼女のナカを駆けめぐっていたモノだ。
「心配しなくていいよ。すぐ帰ってくる」
 君を殺した連中に、死以上の苦痛を与えてくるから。
 そこら中を染める紅色にさらに黒を、純粋な黒じゃない、
 全ての色をごちゃまぜに混ぜ尽くして得られたような
 どす黒さ、それを加えた光沢のない瞳を少年は無造作に
 遠方へ向けた。まだあの国はのうのうと生きている。
 ろくなことを考えずただ毎日娯楽快楽を貪り怠惰に
 居るしか能のない、生きながら死んでいるような、
 醜い奴らしか蔓延らない国。なんの理由もなしに
 ここを襲って壊滅させた。村を守って彼女は死んだ。
 彼女が死んだから村も死んだ。自分は村を離れていたから
 助かった。どれだけ呪おうか、奴らを。そして自分も。
 せめて、共に果てられたなら。
「すぐ、君の所にいくから・・・」
 彼女の頬を撫でる。固まった血液がぱりぱりとはがれていく。
 それと一緒に、自分もぱらぱらと砕けていくのを少年は感じた。
「愛してる。何よりも」

  −−ルサ・狂気(彼女のためならば狂おう)
  少女を愛するが故に少年は何をも厭わなかった


たまにこういう狂気な感じも書きたくなるので。




『かわるがわる』

「あんた、変わったとね」
「・・・そうかい?」
「変わったとよ」
 彼女がそう言って笑うので、なんだか
 否定も肯定もできなくなってしまった。

   ――ルサ
   実は敵わないんだ


サファイアの言う「変わった」はいい方向の「変わった」です。
実際のところルビーがサファイアを振り回しているのではなく
ルビーがサファイアに振り回されてることが結構あると思ったり。





『夕焼け、約束、4つの鐘』

鐘が4回、美しい音を町に響かせました。夕闇が町を覆います。
すると、決まってこの刻限に、茶色い髪の少女が一人時計塔の天辺に、
螺旋階段の終着点のベランダに現れるのです。
周りの大人に怒られるのも(あそこの階段は急なのよ、
暗いときに危ないでしょう)(最近物騒なんだよ、行き帰りに
事故にあったらどうするんだい)関係なしに、毎日4時に
それこそ一心不乱に駆けて駆けていきます。
とん。
「到着!・・・」
「残念。10秒遅刻。今日も僕の勝ち」
「!〜〜また負けたったいー!悔しか!」
 ベランダには、赤い瞳の少年がいました。
 歳は10にも届かないでしょう、その体は、ベランダに
 予め用意された椅子が大きく見えるくらいです。
(つまり小さいってことですね)
 少女も同じく小さな子供で、大きな藍色の瞳が
 不満そうに揺れました。
「でも君も前よりずーっと早くなってきたじゃない。
 前なんて1分も遅れて来たでしょ」
「あんたに勝てなきゃ意味ないとよー・・・
 約束やもん、あたし、絶対勝つったい!それまで
 待っとってよ」
「・・・うん」
 二人はある約束をしていました。
 ひとつは、毎日町の中央の時計塔が4つの時を告げるとき、
 その天辺のベランダで会おうという約束。
 もうひとつは、毎回どちらが早く天辺に到着できるか勝負して、
 少女が勝つことができたら、少年の名前と素性を聞くことが
 できる、というものでした。
 なぜそんな約束があるのか。それはさかのぼること80日前。
 少女は町の中で行ったことがない場所がありませんでした。
 強いてあるとすれば、それは町の中央にあった古い時計塔の中。
 そこは町の人が何故か当たり前のように、誰も行こうとしない
 場所でした。それでも少女は、周りの大人の制止の声も聞かず、
 時計塔に行って、長い螺旋階段を上ったのです。
 すると、螺旋階段の終わりに、一人の少年がいました。
 見たこともない少年で、黒い髪と赤い瞳を持っていました。
 少女は自己紹介をしようとしましたが、少年は何故か
 既に少女のことを知っていました。あなたは?と聞くと、
 少年はそれには答えず、代わりにこう言ったのです。
 僕と毎日勝負して、勝てたら教えてあげる、と。
 少女はまっすぐな性分でしたし、売られた喧嘩は買う主義だったので、
 その勝負を快くうけたのです。そして、今に至ります。
 そう、今日は出会った日から丁度80日目なのでした。
「でもほんっとうに悔しかよ。あたし、ここに通って何日目になると?
 80日ったい!それなのに、まだあんたのことなーんも知らん。
 あんたはあたしのこと知っとるのに」
「じゃあ勝てばいいよ。勝ったらすぐに教えてあげるのに」
「それができないから悔しか言っとるんよ!
 ・・・また明日も来るったい!ちゃんと来(き)いよ!」
「・・・そうだね、また明日、か」
「あたし先帰るとよー」
 でも少女は気づきませんでした。この80日目が、特別な
 日であったことに。少年が言葉を濁していたことに。
 その理由に、気づきませんでした。

 次の日、時計塔は取り壊されました。
 理由は、大分老朽化が進んでところどころが脆くなり、
 危険度が増したから。
 少女が駆けつけたときには、時計塔はもう爆薬によって
 瓦礫の山になっていました。
 毎日上った螺旋階段も、見る影もなく崩れ去っていました。
「あたし、あいつのこと知らんから、ここがなくなったら
 もう会えないったい」
 とても悲しくなりました。こんなに悲しい思いをしたのは、
 もっと小さな頃母親が亡くなった時以来でした。
 少女は時計塔跡地に突っ立って、瓦礫の山の上で泣きました。
 ぼろぼろ涙が出てきました。止まりませんでした。
 すると、いつものように夕闇が町を覆わんとして、夕日が
 傾いたときです。その夕日を反射して何かが光り、きらきらと
 煌めきました。少女はその煌めくものに近づいてみました。
 それは時計塔の時計の文字盤でした。
 文字盤と、二本の大きな針。高いところにあるし、ベランダから
 でも真上すぎて近くで見ることのできなかった文字盤は、
 奇跡的に傷ひとつなく瓦礫の山の上で鎮座していたのです。
 その文字盤の時を示す数字の部分、針、そしてその針を
 固定する中央の止め具、周りの細かな装飾は、何かを
 思わせる赤い石でできていました。
「この色」
 そうです。その石の色は、少年の瞳を思わせる赤色でした。
 まったく瓜二つの輝きをしていました。
「・・・」
 少女は、装飾に使われている小さなその石のひとつを
 文字盤から取り外して、ポケットにしまいこみました。
 そして、わずかな期待を抱いて、あたりが真っ暗になるまで
 待っていましたが、少年が現れることはありませんでした。


   それから10年が経ちました。少女は美しい女性に成長して
 いました。彼女は10年前、あの瓦礫の山の上でポッケに
 しまいこんだ赤い石を、今も大切に肌身離さず持っていました。
 今日は、新しい時計塔完成の祭りで、町中が賑わっていました。
 古い時計塔を壊した後、暫くの間空き地として放置されていた
 場所に、また時計塔を建てよう、町のシンボルを甦らせよう
 という運動が起こったからです。その際、傷ひとつなかったため
 (装飾の石がひとつありませんでしたが)博物館に保存されていた
 文字盤をそのまま使って、あたらしい時計塔は建てられたのです。
 彼女は、その新しい時計塔を、鐘が4つなる時間に上りました。
 螺旋階段をゆっくり上ります。その終着点には、誰もいませんでした。
 過去にベランダだったその場所は、町を一望できる展望台として、
 広くスペースが取られていました。あのせまいベランダはもうありません。
 あの少年の姿ももうないのです。
「あんた、あの昔の時計塔だったんじゃなかと?」
 手すりを握り、夕日に照らされる町を見ながら、彼女は一人
 呼びかけました。
「なんか、確信めいたものがあるとよ。前はそんなこと思いも
 せんかったけど、この赤い石ば見てたら、そうとしか
 思えんようになったったい」
 ポケットから赤い石を取り出して、握り締めます。
 大切に持ち続けていたその赤い石は、今日はいつもより煌めいて
 いるようでした。
「そうだったら、あたし、あんたに勝てるわけなかったとね。
 あたしが家ば出る前に、あんたもうあそこにいたとでしょ?」
 沈む夕日にかざすように、赤い石を前に突き出します。
 声は、喋るほど震えていきました。
 透明なしずくが、頬を伝って手すりに落ちました。
「でも、今日は、あたしの勝ち、ったいね。
 あんたより先に、ここ、着いたとよ?やっと、勝てた、とね。
 結局10年もっ!かかった、けど!勝ちは勝ちったい!」
 だから!
 落ちるのではないかという勢いで、彼女は手すりにつかみかかり、
 身を乗り出しました。かすれる喉で力いっぱい叫びました。
 涙が飛び散りました。
「あんたのこと、教えて!!
 勝てばすぐ教えてくれる言っとったでしょう!!
 そういう約束だったったいね?ねえ、答えりぃよ」
 赤い石を抱き込みます。
「あたし、まだあんたの名前も知らんかったのに」
「そうだね、僕、名前も教えていなかった」
 目を見開きました。
 背中から聞こえてくる声は、青年のものです。
 低く落ち着いた声音。けれどもそれはまちがいなく、あの
 少年の面影を宿していました。驚きすぎて、振り返ることが
 できません。まさか、そんな。信じられないという気持ちと
 歓喜に震える気持ちが正面衝突してわけがわからなくなります。
 しかしそれも、すぐにおさまりました。その声の主が、彼女を
 後ろから抱きしめたからです。
「あんた、誰ね?」
「僕の名前はルビーだよ」
「何者と?」
「時計塔の番人。精霊。そういう類のもの。
 僕はずうっとあの時計塔の中で一人だった。
 君が飛び込んできた時は奇跡かと思ったよ」
「そんで?」
「君が勝てない勝負を申し込んで、毎日来てもらう
 口実にしたんだよ。・・・ずっと憧れてた。
 自由に笑って僕の前を通り過ぎていく君を、ずっと見てたんだ」
 二人は静かに呟き会話をかわしました。
 淡々とした会話でしたが、二人の表情は幸せで満ちていました。
「あの文字盤がまた使われたから、それに」
「それに?」
「君がその石を・・・『ルビー』を持って、思い続けてくれていたから。
 僕はまたここにいる。もっと大きな力を得てここにいる。
 『いのち』をもって、ここにいるんだよ、サファイア」
 彼女・・・『サファイア』は『ルビー』の腕を解いて振り返ります。
 成長した姿の彼の、少年の面影が残る顔は、少し見上げる位置にありました。
 赤い瞳はかわらないまま煌めいています。10年間持ち続けたあの
 赤い石と同じように。
「あたしの予想、当たってたとね?」
「大当たりだよ『サファイア』。また会えて嬉しい」
「あたしだって、嬉しいとよ・・・『ルビー』」
「君に伝えたいことがあるんだ。言ってもいいかい?」
「あたしにも、言わせてくれるなら、いいったい」
 二人の両手はどちらからともなく組まれて、ルビーはサファイアを
 引き寄せました。鼻と鼻がくっつきそうなくらい顔を寄せ合って、
 二人は笑いあいます。夕日が落ちました。
「君が、好きだ。サファイア」
「あたしも、好き。ルビーが、好きとよ」
 二人の影は、静かに重なり合いました。
 ずっと下のほうから、祭りの喧騒が遠く響いてきました。
 赤い石が、サファイアとルビーの手の間で、きれいにきらりと
 煌めいたのでした。

――ルサ
  奇跡を信じてみたくなった。そんな話。


目指せベタ、王道、最高のハッピーエンド!を目標に書いた覚えが。




『忘れてはいけないこと。』

ざくざくと土を踏んでその上を歩いていく。
凍りかけて白いショールをまとった土は意外と軟らかかった。
乾燥してがさがさになった唇をなめると、鉄の味がした。
「冬が来るね」
向こう側にいる紅色の目をした少年が壊れた眼鏡を外して
言った。お互いあちこち焼けこげたりすり切れたり
血の染みがあちこちにあったりぼろぼろの服を、
というより、軽い革の胸当て、鎧みたいなものを
全部外してその場に投げた。
少年は土の大きな盛り上がりに座った。
「冬が来る前に終わると思わなかったよ」
「そうったいね」
広い野原(今は土がむきだし)に小さい盛り上がりが
無数にできていてそれぞれに剣なり槍なりが刺さってる。
それらの真ん中に、自分たちはいる。
「でも」
「なんだい」
「あんたの言うそれは、戦争が?それとも『この作業』が?」
スコップがわりに使っていた敵国の鎧を丁寧に最後の
穴に埋めた。少し人の頭が見えた。
この作業。つまり、お墓をつくること。
「どちらもさ」
頬の乾いた血を拭って少年は笑んだ。
空を見上げてみた。晴れだった。冷たい風が
小さい盛り上がりの間を駆け抜けていく。
母国の方角へ。
「戦争、終わったとね」
「うん」
「『この作業』も、終わりったい」
「うん」
「これからあたしたち、どうしたらいいんやろ?」
戦争のために生まれ戦争のために育てられた自分たちは、
全てが終わった今何をしてどう生きればいいのだろう。
笑いながら問えば、少年は立ち上がる。
「この戦争のありのままを伝える旅をしよう。
 この戦争は、きっと、忘れられちゃいけない戦争だから」
「・・・うん」

二人はそこをあとにした。去り際に手を合わせた。
無数の盛り上がりとそれぞれに立てられた武器たち。
戦死者達へ。

−−パラレル
  全部終わった。そして始まり。
  散った命のために。
  (もう二度と同じように散る命がないように)


戦争のお話。二人とも戦争の最中生まれ戦争のために育ちました、という設定。
軽々しく世界平和を叫ぶつもりはないですけど本当なら戦争ないのが一番なんでしょうね。







   


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